対局場 王座戦

銀波荘の対局を振り返ってみた

挑戦者の木村一基九段の先勝で幕を開けた第69期王座戦五番勝負

第2局は愛知県蒲郡市の<西浦温泉 旬景浪漫 銀波荘>で行われます。

<銀波荘>は棋聖戦の<ホテルニューアワジ>や王位戦の<渭水苑>のような特定の棋戦だけではなく、過去、4棋戦にわたって、タイトル戦が開催されてきました。

王座戦での開催は今回が初めてとなります。

 

そんな、将棋界にとって切っても切れない関係である<銀波荘>について、過去の記録も織り交ぜながら振り返りたいと思います。

 

100回目前

<銀波荘>は過去に名人戦、王位戦、王将戦、棋戦戦の4つの棋戦において開催されてきました。

そのため、過去に開催されたどの対局場よりも群を抜いて開催回数が多くなっています。

その数、今回の王座戦の開催も含め、実に90回にもなります。

 

銀波荘での開催

棋聖戦37回 名人戦25回 王将戦17回 王位戦10回 王座戦1回

 

そして、30人(今回の対局者を除く)もの棋士がこの将棋の聖地<銀波荘>で対局を行ってきました。

 

大棋士独占

では、30人の棋士のうち、誰が一番多く対局を行っているのでしょうか。

 

No. 棋士名 対局回数
1 中原誠 40回
2 大山康晴 23回
3 米長邦雄 22回
4 谷川浩司 15回
5 羽生善治 14回

 

中原誠十四世名人が2位以下を大きく引き離し、40回もの対局を経験しています。

TOP5の棋士は全て永世称号の獲得者ばかりです。

今後令和の将棋界を担っていくであろう永瀬王座藤井聡太三冠たちがどこまでこの数字に迫るのでしょうか。

昭和から平成。そして、令和。

<銀波荘>の対局はまさに将棋の歴史を感じさせてくれます。

 

相性抜群

では、<銀波荘>での勝利の美酒を一番多く味わった棋士は誰になるのでしょうか。

 

No. 棋士名
1 中原誠 22 17 1
2 大山康晴 12 10 1
3 谷川浩司 11 4
4 米長邦雄 8 13 1
5 羽生善治 8 6

 

やはり、対局数トップの中原誠十四世名人が一番多く勝ち星を挙げており、22勝となっています。

しかし、負け数も群を抜いていて、17回もの敗北を喫しています。

中原十四世名人にとっては<銀波荘>は必ずしも相性の良い場所とは言えなかったようです。

反対に谷川浩司九段は11勝4敗(0.7333)と相性の良さを見せつけています。

以前振り返った<中の坊瑞苑>での谷川九段の戦績(5勝12敗とは真逆の結果となっています。

対戦相手にもよると思いますが、棋士にとって対局しやすい場所、しにくい場所ってあるのかも知れませんね。

 

永遠のライバル

さて、対戦カードで一番多い組み合わせは以下のとおりとなっています。

 

棋士名 対戦成績 棋士名 対局数
中原誠 6-3 米長邦雄 10 1
中原誠 6-4 大山康晴 10

 

中原vs米長戦は歴代の対戦カードでも187対局と堂々の第1位を誇っています。

歴代のみならず、<銀波荘>においても、二人の大棋士の記録は引き継がれているようです。

 

永世称号獲得の地

<銀波荘>では過去2回、永世称号を決めた対局が行われています。

 

第18期(1977年度)王位戦第6局 中原誠王位vs米長邦雄八段

後手の中原王位が120手で勝ち、4勝2敗の対戦成績で永世王位を獲得

 

第65期(2007年度)名人戦第7局 森内俊之名人vs郷田真隆九段

後手の森内名人が158手で勝ち、4勝3敗の対戦成績で十八世名人を獲得

 

以上、縁起の良い場所となっています。

 

ちなみに渡辺明名人が初王将を決めた地も<銀波荘>です。

第62期(2012年度)王将戦第5局 佐藤康光王将vs渡辺明竜王

4勝1敗の対戦成績で王将奪取

 

今後、永世称号誕生の対局は出てくるのでしょうか。

非常に楽しみです。

 

これからの50年へ

<銀波荘>でのタイトル戦開催は第56期(2015年度)王位戦第1局羽生善治王位vs広瀬章人八段以来、6年ぶりとなります

そして、前回の開催が銀波荘で初めてタイトル戦が行われて50年目の節目の年でした。

初開催は、第15期(1965年度)王将戦第4局 大山康晴王将vs山田道美八段

 

初開催からこれまでの間には数々の名局が生まれ、我々将棋ファンを楽しませてくれました。

明日の王座戦第2局もきっとこれからの50年にふさわしい熱い戦いが繰り広げられることでしょう。

期待しましょう。

 

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