対局場 王位戦

中の坊瑞苑の対局を振り返ってみた

藤井聡太王位豊島将之竜王との激突で幕を開けた第62期王位戦七番勝負。

第2局が終わり、ここまで両者1勝1敗の五分。

第3局は舞台を兵庫県神戸市の「中の坊瑞苑」に移して行われます。

第3局目の舞台となる「中の坊瑞苑」は過去数々の名勝負が繰り広げられた将棋ファンにはすっかりおなじみの場所です。

 

そんな「中の坊瑞苑」について、過去の対戦記録も織り交ぜながら、振り返ってみたいと思います。

 

それは王位戦から始まった

「中の坊瑞苑」は過去、王位戦だけではなく、名人戦、王座戦でも使われています

将棋のタイトル戦での舞台として、今回で実に56回を数えます

そのうち王位戦は39回となっています。

「中の坊瑞苑」が将棋のタイトル戦で初めて使われたのは中原誠王位(当時)と内藤國雄九段が相まみえた第23期王位戦第2局からです。

結果は77手で先手中原王位の勝ち。

ここから、名舞台の歴史は始まりました。

 

35年連続

「棋聖戦」の舞台として有名な「ホテルニューアワジ」と並び、王位戦の舞台として将棋ファンに深く浸透している「中の坊瑞苑」。

王位戦での開催は今回で39回目ですが、2017年の第57期まで実に35年連続で開催が実現しています

もちろん、連続開催記録の第1位となっています。

 

無敗の男

過去、数々の棋士がこの地で激闘を繰り広げていますが、過去55回の開催のうち、一番多く勝利を挙げているのは羽生善治九段となっています。

 

No. 棋士名
1 羽生善治 21 10
2 中原誠 8 0
3 谷川浩司 5 12
4 高橋道雄 4 1
5 佐藤康光 3 2
5 郷田真隆 3 1
7 木村一基 2 4
7 深浦康市 2 3
7 広瀬章人 2 1
10 森雞二 1 2
10 福崎文吾 1 1
10 豊島将之 1 1
10 中田宏樹 1 0
10 藤井聡太 1 0

(※)「中の坊瑞苑」での勝利経験者のみ掲載

 

表のとおり、2位以下を大きく引き離しています。

そして、中原誠十四世名人にいたっては8戦全勝の記録を残しています。

よほど相性が良かったんですね。

ちなみに羽生九段も王座戦に限って言えば9戦全勝です。

 

さすが王座戦19連覇は伊達ではないです(笑)

 

一方、谷川浩司九段は地元(神戸市)開催にもかかわらず大きく負け越しています

地元開催が逆にプレッシャーになっていたのかも知れませんね。

 

互角の戦い

王位戦での過去38回の対局において王者、挑戦者ともに19勝ずつを挙げており、全くの互角となっています

 

王位 勝敗 挑戦者
第23期 第2局 中原誠 内藤國雄
第24期 第1局 内藤國雄 高橋道雄
第25期 第3局 高橋道雄 加藤一二三
第26期 第1局 加藤一二三 高橋道雄
第27期 第1局 高橋道雄 米長邦雄
第28期 第2局 高橋道雄 谷川浩司
第29期 第2局 谷川浩司 森雞二
第30期 第2局 森雞二 谷川浩司
第31期 第3局 谷川浩司 佐藤康光
第32期 第1局 谷川浩司 中田宏樹
第33期 第3局 谷川浩司 郷田真隆
第34期 第3局 郷田真隆 羽生善治
第35期 第3局 羽生善治 郷田真隆
第36期 第1局 羽生善治 郷田真隆
第37期 第3局 羽生善治 深浦康市
第38期 第3局 羽生善治 佐藤康光
第39期 第3局 羽生善治 佐藤康光
第40期 第3局 羽生善治 谷川浩司
第41期 第1局 羽生善治 谷川浩司
第42期 第3局 羽生善治 屋敷伸之
第43期 第3局 羽生善治 谷川浩司
第44期 第3局 谷川浩司 羽生善治
第45期 第5局 谷川浩司 羽生善治
第46期 第2局 羽生善治 佐藤康光
第47期 第3局 羽生善治 佐藤康光
第48期 第3局 羽生善治 深浦康市
第49期 第3局 深浦康市 羽生善治
第50期 第3局 深浦康市 木村一基
第51期 第3局 深浦康市 広瀬章人
第52期 第2局 広瀬章人 羽生善治
第53期 第4局 羽生善治 藤井猛
第54期 第2局 羽生善治 行方尚史
第55期 第5局 羽生善治 木村一基
第56期 第2局 羽生善治 広瀬章人
第57期 第2局 羽生善治 木村一基
第59期 第2局 菅井竜也 豊島将之
第60期 第4局 豊島将之 木村一基
第61期 第3局 木村一基 藤井聡太
19勝 19勝

 

こうやって見てみると第3局目に開催することが多いですね。

 

両者は現在、番勝負においても1勝1敗のイーブンですが、「中の坊瑞苑」での勝敗について王位、挑戦者どちらが勝って1歩抜け出すか。

こちらも注目です。

 

熱戦必至

いかがだったでしょうか。

両者の「中の坊瑞苑」での勝敗は藤井王位が1勝0敗豊島竜王が1勝1敗となっています。

第3局での勝敗が今後の番勝負の行方を左右すると言っても過言ではありません。

藤井王位も第2局の勝利で豊島竜王への苦手意識を払拭しつつあります。

7月25日開幕の第6期叡王戦五番勝負においても立場を変えて激突する両者。

明日の第62期王位戦第3局も目が離せなくなりそうです。

 

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