王位戦 記録

第62期王位戦の展望

第62期王位戦がいよいよ6月29日に開幕します。

王者である藤井聡太王位にとっては現在、進行中の棋聖戦に続く2つめの防衛戦となります。

そして、迎える挑戦者は竜王・叡王の2冠を保持する豊島将之竜王

羽生善治九段との挑戦者決定戦を制し、最強の挑戦者として名乗りを上げてきました。

豊島竜王にとっては一昨年失った王位の奪還を目指す戦いとなります。

両者の直近10局の成績は藤井王位、豊島竜王ともに8勝2敗と好調を維持しています。

 

早速、過去の戦績なども振り返り、見所を紹介していきましょう。

 

天敵豊島竜王

相変わらず高勝率を維持している藤井王位ですが、こと豊島竜王に対しては事情が違ってきます。

豊島竜王とは直近の対局に勝つまで実に6連敗を喫しています。

6敗目の際は終盤まで必勝であったものの悪手を連発し、逆転負けを食らっています。

ちなみに豊島竜王を含め、藤井王位が同一相手と5局以上戦って、負け越しを喫しているのは以下の棋士となります。

2021年6月26日現在

対局者 対局
豊島将之 7 1 6
久保利明 5 2 3
大橋貴洸 5 2 3

 

四段昇段同期の大橋貴洸六段とは初戦からの2連勝のあと、現在3連敗中となっています。

 

いびつな三つ巴

現在、藤井王位は棋聖戦の真っ只中ですが、その対戦相手である渡辺明名人との戦績をこれまで7勝1敗としており、相性の良さを見せています。

一方、豊島竜王とは前述の通り、これまで1勝6敗の戦績であり、今のところ、相性の悪さを露呈しています。

ただ、藤井王位を苦手としている渡辺名人も豊島竜王に対しては過去、棋聖、名人を立て続けに奪取したこともあり、戦績も以下のとおり、勝ち越しております。

2021年6月26日現在

対局者 対戦成績 対局者
渡辺明 21勝 14勝 豊島将之
豊島将之 6勝 1勝 藤井聡太
藤井聡太 7勝 1勝 渡辺明

現在のところ、渡辺>豊島、豊島>藤井、藤井>渡辺とちょっと不思議な力関係となっています。

 

ご当地は鬼門?

今回の王位戦開幕局は愛知県名古屋市で開催されます。

藤井王位の出身地は愛知県瀬戸市、一方の豊島竜王の出身地は愛知県一宮市で第1局は言わばご当地愛知県での対戦となります。

両者の過去タイトル戦における愛知県での戦績は以下のとおりとなっています。

2021年6月26日現在

藤井聡太王位の愛知県での戦績
棋戦 対局日 対局場 場所 勝敗
第61期王位戦第1局 2020/7/1-2 ホテルアークリッシュ豊橋 愛知県豊橋市

 

豊島将之竜王の愛知県での戦績
棋戦 対局日 対局場 場所 勝敗
第59期王位戦第1局 2018/7/4-5 ホテルフォレスタ 愛知県豊田市
第90期棋聖戦第2局 2019/6/19 亀岳林万松寺 愛知県名古屋市
第60期王位戦第1局 2019/7/3-4 か茂免 愛知県名古屋市
第5期叡王戦第3局 2020/7/19 亀岳林万松寺 愛知県名古屋市 持将棋
第5期叡王戦第4局 2020/7/19 亀岳林万松寺 愛知県名古屋市
第33期竜王戦第2局 2020/10/22-23 亀岳林万松寺 愛知県名古屋市

 

豊島竜王にとって、愛知県での対局は少し相性の悪い場所となっているようです。

 

関西同士の激突

両者ともに関西所属同士ですが、過去の王位戦における関西対決は以下のとおりとなっています。

 

王位 勝敗 挑戦者
7 大山康晴 有吉道夫
9 大山康晴 有吉道夫
13 大山康晴 内藤國雄
59 菅井竜也 豊島将之
62 藤井聡太 豊島将之

 

過去4度の対決が実現しており、王者、挑戦者ともに2勝ずつ上げています。

しかし、全体で言えば、王者側の38勝、挑戦者側の22勝(※第1期を除く)と王者側が大きくリードしています。

 

連覇に向けて

藤井王位にとっては今期の王位戦は連覇を目指す戦いとなります。

過去の王位戦における連覇は以下のとおりとなっています。

 

王位戦における連覇(※)
No. 棋士名 連覇数
1 大山康晴 12
2 羽生善治 9
3 中原誠 6
4 谷川浩司 3
4 深浦康市 3
6 高橋道雄 2

(※)王位初獲得からの連覇数

 

大山康晴十五世名人の12連覇を最高に羽生善治九段の9連覇中原誠十四世名人の6連覇と続きます。

藤井王位にとっては偉大なレジェンドに肩を並べる上でもここは是が非でも防衛を果たしたいところです。

 

熱戦必至

いかがだったでしょうか。

現在、藤井王位は豊島竜王に対し、対戦成績の上では分が悪い結果となっています。

しかし、直近の対局においては難解な終盤戦を制し勝利を収めていますので、対戦成績が表すほど苦手意識は持っていないように思われます

豊島竜王にとっても、過去の対戦成績は到底頭にはなく、細心の警戒を持って王位奪還に挑んでいくことでしょう。

いずれにしても、両者の熱い戦いに目が離せません。

 

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