6月9日に行われた第80期順位戦B級2組の窪田義行七段戦において中村修九段が公式戦通算800勝(将棋栄誉敢闘賞)を達成しました。
史上24人目の記録です。

唯一○○がない棋士
史上24人目の800勝を達成した中村修九段ですが、達成者24人の中で唯一、A級の昇級経験がありません。
B級1組在籍がこれまでの最高です。
23歳という若い年齢での王将位獲得経験があるにもかかわらず、A級経験がないというのは「将棋界の七不思議」とは言えなくとも「十不思議」ぐらいには入っていても良さそうな感じです。
20勝×40年、16勝×50年
800勝を達成するには、年間20勝で40年、年間16勝で50年かかる計算となります。
昨年度(2020)、全棋士(174名)の年間平均勝利数がおよそ15勝となっていますので、その大変さがわかります。
ちなみに先の中村修九段は40年11ヶ月での達成となりますので、毎年コンスタントに年間20勝をあげてきた計算になります。
と言っても、40歳後半から50歳に差し掛かるころには棋力の衰えもあり、年間20勝をあげていくのは非常に難しくなってきます
そのため、800勝を達成するには指し盛りの若手時代に30勝、40勝といかに星を稼げるかがカギとなってきます。
タイトルを獲得するよりも困難?
棋士(棋士番号有)327名中、800勝達成者が24人に対し、タイトルの獲得者は45人(※)となっています。
つまり、これまでおよそ14人に1人しか800勝を達成できておらず、いかにタイトルを獲得するよりも至難の業ということがわかります。
※棋士番号のない山田道美九段を含む
最年少、最年長はともに戌年生まれ
最年少での達成記録は羽生善治九段の32歳4ヶ月となっています。
達成期間についても羽生九段が17年2ヶ月と最速記録を保持しています。
そして、最年長記録は森雞二九段の62歳10ヶ月です。
2021年6月11日現在、青野照市九段は通算勝利数を782勝まで積み重ねており、800勝まで残り18勝に迫っています。
青野九段は現在、御年68歳。
もし、青野九段が800勝を達成すると最年長記録を大幅に更新することになります。
800勝達成年少記録トップ5 | |||
No. | 棋士名 | 達成年齢 | 達成期間 |
1 | 羽生善治 | 32歳4ヶ月 | 17年2ヶ月 |
2 | 谷川浩司 | 34歳10ヶ月 | 20年2ヶ月 |
3 | 中原誠 | 39歳0ヶ月 | 20年11ヶ月 |
4 | 佐藤康光 | 39歳5ヶ月 | 21年11ヶ月 |
5 | 森内俊之 | 40歳6ヶ月 | 23年11ヶ月 |
※スマホでご覧の方は左右にスクロールできます。
現在、37歳の渡辺明名人。
2021年6月11日現在、通算勝利数が691勝です。
今後、トップ5に食い込めるかが注目です。
800勝達成年長記録トップ3 | |||
No. | 棋士名 | 達成年齢 | 達成期間 |
1 | 森雞二 | 62歳10ヶ月 | 40年10ヶ月 |
2 | 大内延介 | 58歳11ヶ月 | 37年5ヶ月 |
3 | 中村修 | 58歳7ヶ月 | 40年11ヶ月 |
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800勝の背中が見えている
いかがだったでしょうか。
やはり、800勝達成というのはごく一部の棋士に与えられた一流の証だと言えるでしょう。
しかし、それは達成者にとっては単なる通過点であり、棋士たちは1勝でも多く星を積み重ねるべく、日々奮闘しています。

ここから、次の800勝を達成するのは誰なのか。注目です。
・久保利明九段 791勝
・田中寅彦九段 790勝
・青野照市九段 782勝
・中田宏樹八段 767勝
・塚田泰明九段 764勝