棋聖戦 記録

第92期棋聖戦の展望

第92期棋聖戦がいよいよ6月6日に開幕となります。

今年度一番の注目カードと言っても過言ではありません。

挑戦者として名乗りを上げたのは、昨年度、棋聖を奪われた渡辺明名人。

先日の名人戦では斎藤慎太郎八段を相手に4-1の圧巻のスコアで貫禄の防衛を演じたばかりです。

かたやチャンピオンである藤井聡太棋聖。

他棋戦においても相変わらず、華麗なる終盤の寄せで着実に白星を積み重ねています。

そんな絶好調のふたりが相まみえる今期の棋聖戦の見所を紹介していきます。

 

リターンマッチ

前チャンピオンが登場する、いわゆるリターンマッチが行われるのは棋聖戦においては今回で4回目となります

期(年度) 棋聖 対戦スコア 挑戦者 結果
第8期(1966年度前期) 大山康晴 1-3 二上達也 失冠
第9期(1966年度後期) 二上達也 0-3 大山康晴 奪還
第17期(1970年度後期) 大山康晴 0-3 中原誠 失冠
第18期(1971年度前期) 中原誠 3-1 大山康晴 奪還失敗
第62期(1993年度前期) 谷川浩司 1-3 羽生善治 失冠
第63期(1993年度後期) 羽生善治 3-2 谷川浩司 奪還失敗
第91期(2020年度) 渡辺明 1-3 藤井聡太 失冠
第92期(2021年度) 藤井聡太 渡辺明

※1994年度まで年2期開催

表に示したとおり、前チャンピオンがタイトルを奪還したのは過去1回のみとなっています。

渡辺名人が今回棋聖を奪還し、2例目として歴史に名を刻むのか注目です。

 

最年少記録更新なるか

奇しくも両棋士とも今期の棋聖戦で偉大な記録がかかっています。

まずは藤井聡太棋聖にかかる記録は以下の2つです。

最年少九段昇段
最年少タイトル防衛

今期防衛するとタイトル3期獲得の条件を満たし、九段に昇段します。

現在の最年少九段昇段の記録は今回の対戦相手である渡辺明名人の21歳7ヶ月7日となっています。

仮に5局目(2021/7/29)で防衛を決めた場合、19歳0ヶ月10日での達成となり、大幅な記録更新となります。

ただし、これは最年少タイトル防衛に影響してきます。

現在の最年少タイトル防衛の記録は屋敷伸之九段の19歳0ヶ月7日となっています。

そうです。

5局目で防衛を決めたとしても最年少タイトル防衛については2位に甘んじることになります。

仮に4局目(2021/7/18)で防衛を決めると18歳11ヶ月29日となり、両記録とも更新となります。

藤井棋聖としては3-0、もしくは3-1のスコアで防衛を決めたいところです。

屋敷九段とはタイトル挑戦の年少記録についても4日差となっていますので、まさに僅差の争いとなっています。

 

18年ぶりの記録なるか

つづいて、渡辺明名人にかかる記録は次のとおりです。

史上6人目の四冠王

現在、渡辺名人が保持しているタイトルは名人、王将、棋王の3つ。

今回、棋聖を奪取すると4タイトル同時保持となり、第62期棋聖戦(1993年度)に羽生善治九段が達成して以来の快挙となります。

棋士名 1 2 3 4 達成日
大山康晴 王将 九段 名人 王位 1960/9/20
中原誠 十段 王将 名人 王位 1973/9/5
米長邦雄 王将 棋王 棋聖 十段 1985/1/8
谷川浩司 王位 竜王 棋聖 王将 1992/2/28
羽生善治 棋王 王座 竜王 棋聖 1993/7/19

過去に達成した5人は全員名人経験者そして、永世称号を獲得しています。

自身も既に両方ともに該当しており、四冠王になることでまた棋史に名を刻むことになります。

 

連覇かそれとも奪還か

藤井棋聖にとってはこれからの大棋士の道を歩んでいくためにはどうしても負けられない勝負。

渡辺名人にとっても、第一人者の誇りをかけて、借りは返したいところ。

両対局者にとって、今回の戦いはこれからの長い棋士人生において重要なターニングポイントになることは間違いなさそうです。

現在、将棋界を牽引している2人のハイレベルな戦いに目が離せません。

 

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