棋史に燦然と輝く実績を残し、数多の名勝負を繰り広げてきた中原誠十六世名人と米長邦雄永世棋聖(故人)。
二人の対局数は187局と今現在も同一対戦カードの1位として記録に刻まれています。
そして、この偉大なる二人の永世棋士は弟子の育成にも力を注ぎ、それぞれ個性溢れる一門を築いてきました。
実績は米長門下に軍配
まずはそれぞれの門下の棋士たちの顔ぶれを見ていきましょう。
米長門下
・伊藤能七段(故人)
・中川大輔七段
・先崎学九段
・長岡裕也六段
・高崎一生七段
・中村太地七段
・杉本和陽五段
(2022年1月1日現在)
中原門下
・佐藤秀司八段
・小倉久史七段
・高野秀行六段
・熊坂学五段(引退)
(2022年1月1日現在)
やはり何と言っても米長門下で目を引くのは中村太地七段の王座獲得ではないでしょうか。
羽生九段からタイトルを奪取したのは鮮烈でした。
あと、先崎学九段のNHK杯での優勝も光っています。また、現在門下唯一のA級在籍の経験者でもあります。
中原門下はと言うと、目立つところでは佐藤秀司八段が四段時に奨励会三段と新人王戦を戦い、プロの矜持を見せつける形で見事新人王を獲得しています。
こうして見ると実績面では米長門下が一本取った形となっています。
門下としての意地
では、それぞれの相手側門下に対する個別成績を見てみましょう。
まずは中原門下の棋士から
(2022年1月1日現在)
棋士名 | 対戦成績 | 門下 | |
小倉久史七段 | 11勝 | 26勝 | 米長門下 |
佐藤秀司八段 | 25勝 | 28勝 | 米長門下 |
高野秀行六段 | 9勝 | 14勝 | 米長門下 |
熊坂学五段 | 5勝 | 4勝 | 米長門下 |
計 | 50勝 | 72勝 |
熊坂五段のみが辛うじて勝ち越しをしています。
佐藤八段もかなり善戦しております。
続いて、米長門下の棋士です。
(2022年1月1日現在)
棋士名 | 対戦成績 | 門下 | |
中川大輔八段 | 16勝 | 13勝 | 中原門下 |
先崎学九段 | 21勝 | 8勝 | 中原門下 |
伊藤能七段 | 5勝 | 14勝 | 中原門下 |
長岡裕也六段 | 7勝 | 8勝 | 中原門下 |
高崎一生七段 | 13勝 | 3勝 | 中原門下 |
中村太地七段 | 9勝 | 4勝 | 中原門下 |
杉本和陽五段 | 1勝 | 0勝 | 中原門下 |
72勝 | 50敗 |
やはり目を見張るのは先崎九段と高崎六段の成績です。
まるで自身の師匠の敵を取るかのように大きく勝ち越しています。
高崎六段にいたっては勝率8割を超えています。
以上、対戦成績についても米長門下の圧勝と言えます。
師匠の矜持
それでは師匠vs相手側門下も見ていきましょう。
棋士名 | 対戦成績 | 門下 | |
中原誠十六世名人 | 9勝 | 6勝 | 米長門下 |
米長邦雄永世棋聖 | 5勝 | 1勝 | 中原門下 |
お互い世代の違いで対局数は少ないものの両師匠とも勝ち越しているところはさすがの一言です。
完封
少しばかり個別vs個別の成績も見てみましょう。
全勝(3勝以上)棋士は以下のとおりとなっています。
(2022年1月1日現在)
棋士名(中原門下) | 対戦成績 | 棋士名(米長門下) | |
佐藤秀司八段 | 4勝 | 0勝 | 長岡裕也六段 |
小倉久史七段 | 0勝 | 4勝 | 長岡裕也六段 |
小倉久史七段 | 0勝 | 3勝 | 高崎一生七段 |
高野秀行六段 | 0勝 | 5勝 | 高崎一生七段 |
長岡裕也六段に関しては完封「している側」「されている側」両方にいるというのは興味深いところです。
良きライバル関係
いかがだったでしょうか。
実績、対戦成績ともに米長門下の勝利となりました。
門下の人数に違いがあれど、師匠の敵を取った形となりました。
しかし、一門全体の対戦成績を見ると
(2022年1月1日現在)
一門名 | 対戦成績 | 一門名 | |
中原一門 | 166勝 | 163勝 | 米長一門 |
※中原誠十六世名人 | (うち115勝) | (うち85勝) | ※米長邦雄永世棋聖 |
とかなり拮抗しています。
師匠同士も良きライバル関係でしたが、門下同士もそれぞれの一門の威信をかけ、これからも素晴らしい好敵手であり続けていくことでしょう。